インターナショナルな学生さんに訪問いただきました。

インターナショナルな学生さんに訪問いただきました。
京都大学のサマースクールで学ぶために京都滞在中の世界各国からの学生さんたち。農村社会学、開発学、経済学などを専門に研究されているみなさんです。

すっきりしない天候の中、黒田の田畑と、水路にそって歩いてまわりました。その後、車座になって質問&ディスカッションタイム。

いつもながら、考えさせられる質問ばかりです。
備忘録もかねて、こちらでシェアさせていただきます。

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Q. (化学肥料を入れないにしても)田んぼに有機肥料を入れないのはなぜ?

A. ぼかしや籾殻燻炭など、入れるときもありますが、入れてない田んぼもあります。田んぼの状態によって変えています。収量は少なめですが、味はおいしい、とおっしゃっていただいています。わたしたち家族が食べるお米、美味しい方がいいとも思っています。でも、労働力との兼ね合いもあるので、試行錯誤中です。

Q. 二人とも農業を学校で習っていないようですが、農業技術はどこで習得したのですか?

A. 最初は有機農家さんのところで研修を受けました。その後は本で学びました。トライアンドエラーです。

Q. 有機農家さんの研修では、何を習いましたか?

A. すべてです。技術から運営方法まで。

Q. 観光農法の近隣農家から学ぶこともありますか?

A. もちろんです。いつに何を植えるかは、近隣の同じ気候での知恵が一番役に立ちます。昔からの知恵などは得に学びたいことです。

Q. 集落や地域内での関係はいいですか?

A. みなさんにはお世話になっています。ただ、今までの方法が必ずしもいいわけではなく、人口減少や社会の変化に伴って、今までの習慣を保持する点と、改良した方がいい点があると思う。今までのやり方についていけなくて農山村を出て行く方もいます。若い町からの移住者と、もともと住んでいた人々との歩み寄りが必要だと思う。

Q. あなたの農業スタイルは、サステイナブル(持続可能)、だと思いますか?

A. 今の社会的、経済的スキーム(あるいはシステム)のままでは、答えは「ノー」だと思う。結局、わたしたちの暮らしはお金に頼っているし、農産物の価格で一般的なレベルの収入を維持するのはなかなか難しい。

ただ、現行のシステムも、サステイナブルではないと思う。

日本の政治家の中では、非効率な遠隔地の集落は見捨てるべし、という意見も強い。

京北で言うと、黒田のような地域は見捨てて、残った住民は周山のような「農村の都会」に移住すべし、ということ。
「コンパクトシティ」とも呼ばれる方策だが、「ピークオイル」も間近の社会に生きる私たちにとって、それしか道はないのだろうか。

それでも、街から気が遠くなりそうなぐらい遠い山間地でも、若い人を呼び込むことに力を入れている集落もある。たとえ一家族でも数家族でも、子どもがいる家族がくれば、また違った風が吹く。経済的不況も実は追い風かもしれない。自給的生活を目指す人が増えているから。

どういう社会を創りたいのかは、若い人たちにかかっている。考えて行動し、形にするために与えられた時間は短い。スーパーじいさんやスーパーばあさんといった、今、農地や山を担っている平均75歳の方々を頼りにできるのは、せいぜいあと5年から10年だろうから。

「何かひとつのビッグな方策」が必要だとは思っていない。小さくて細くても、山間地のあちこちで「取り組み」があちこちで散発的に発生することが必要。今、そういう取り組みは各地ですでに起こっていると思う。

今大事なのは、いかに、そういう多様で多彩な取り組みひとつひとつを支援すること。今すでに存在する取り組みに対してはそれが持続可能になるように支援しないといけないし、始めたい人が気軽に始められるような支援も必要。そして、点と点をつなげて線にしていくための活動も必要だと思う。
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他人の目線で指摘されてはじめて、自分たちのスタイルや価値観について気がつくことは多いです。特に、地理的にも、文化的にも、政治社会的にも「遠い」地域に暮らす人々からの視点は、自分自身の方向性について考えるにあたって、とても貴重な資源です。

短いけれど有意義なひとときでした。訪問されたみなさんにとってもそうでありますように!

Thank you very much for your visit and valuable comments and questions. It was a fruitful and enjoyable experience for us to receive international students, hope you had got something helpful for your study/research out of your visit in Kuroda, Keihoku. Hope your remaining days in Kyoto are even more wonderful and wish you a nice trip back to your country.

最後になりますが、久野先生、平賀みどりさん、今回も楽しいご訪問をありがとうございました!@Shuji Hisano, @Midori Hiraga

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