今年もお米づくり、始動しました!種もみの選抜です。
わくわくすると同時に、緊張する時期の到来です。
今年も種もみの選抜作業を行い、お米作りの第一歩を踏み出しました。
「種もみ選抜」について、去年書いた記事ですが、ご興味ある方に届けばと思い、もう一度投稿しています。
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「お米を育て、お米と育つ1:種もみの選抜 」
さて、お米づくりの第一歩といえば「田植え」。
しかし、「田植え」はいわば、田んぼ作業の花形。
田植えの前に、裏作業的なイロイロモロモロの準備があってこそ、田植えが可能になります。
さて、「苗代づくり」も、重要な準備のひとつ。
苗代づくりの第一歩が、種もみの選抜作業。
塩水による選抜作業を行います。
「よく実る種もみのみを植える」という目的もあります。
しかし、農薬を使わないお米づくりなので、病害虫に侵された種子を除くことができる、重要な作業です。
今年(2015年)は4月10日に行いました。(2016年は4月11日)
玉子が浮くほど塩を水に溶かして、比重計ではかって1.17の比重にし、浮いてきた種を取り除きます。
続いて、温湯消毒という忙しい作業を行います。
というのも、馬鹿苗病など(なんだかイヤな名前・・・)選抜だけでは取り除けない苗の病気などの可能性があるためです。
なお、この作業は無農薬で行うお米作りならではの作業です。
慣行農業ではこの時点で農薬による消毒を行います。
あるいは、種もみじたい、農薬をコーティングしている場合も多いです。
さて、湯温消毒の話に戻ります。
作業自体は、「60度のお湯に7分~10分つけて消毒」なのですが、現場はバタバタです。
塩水選作業終了後直に水洗いをして30分以内(厳守!)に行う必要があるので大忙し。
お湯を60度にキープするのも大変です。
種もみの袋は5キロ単位でお湯自体は70度位にしておかないとすぐに温度が下がります。処理温度が下がると消毒効果が下がるので緊張しながら行います。
続いて、水に長期間浸ける浸種作業を行います。
通常の苗作りでは、能率を考えて短期間に温度を上げて行いますが、有機稲作では低温で長期間つけて苗作りを行います。
寒さに対する抵抗性を持たせるためです。
この日の作業はここまで。
こういった作業は少し前までどこの農家も行っていたことでしたが、最近は、「苗作りは手間暇がかかる」と、一部の農家しか行わなくなりました。
農協等で苗を購入することが一般的になっています。
しかし、苗箱の価格は以外と高価です。
もちろん、作業をする人々や農薬等の経費を考えれば当然かもしれませんが、こんなに米代が安いのに…
「無農薬の苗」は売っていないので、無農薬でお米づくりをしようと思ったら自分で作るしかないことは確かです。
しかし、「苗代づくり」は「いのちを循環させる」ための重要な第一歩。
収穫したお米(もみ)が、そのまま水に浸せば芽を出す。
そんなシンプルなことですが、「いのちがつづいていく」瞬間に立ち会えるのは、有機農家ならではの特権です。そして、いのちが続いていくために少しお手伝いをさせてもらってる-誇りをもっていい作業だと思っています。
苗代づくりには、現代社会の主要なものさしである「効率性」でははかることのできない重要な価値がある-そう感じるからこそ、苗作りの知恵や記憶が山間地から消えてしまったら「もったいない」とばかりに、今年も「いわゆる非効率」な作業を行っています。
でもこうした農家の小さな努力も、TPPに加入してこれ以上コメが輸入されると吹き飛ぶんじゃないかなー、なんて思いを抱きながらの作業でした。
ひとつひとつをアップしていくのはなかなか骨も折れますが、発信も重要と腰を据え、お米づくりのこと、お野菜のこと、FBを中心にアップしていきます!
これからもよろしくおつきあいください。